忍者ブログ
色々
2025/01/22/Wed
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2010/01/09/Sat
 彼は、わかりにくい。

 いつもへらへら笑ってみんな(主に女の子)に囲まれているかと思えば、その深いブルーの瞳に他人を近づけさせない孤独が見える。
 軽くて不真面目かと思いきや、すごく繊細だったりする。

 わからない。


 その日は暗殺者から要人を守る任務だった。
 屋外での講演会の為、あちこちにSeeDが配置された。
 彼は狙撃手として屋上に待機、あたしは要人のすぐ近くで護衛中だ。
 魔女討伐に参加したSeeDはあたしとアーヴァインだけだけど、他のSeeDもみんな一様にレベルが高い。
 これなら大丈夫だと、安心はしていた。
 だけど、油断はしていないはずだった。
 人垣の後方から悲鳴が広がり、近くにいた数人SeeDが音もなく動く。
 と、また別の方向で悲鳴が。
 あちこちで悲鳴や怒号が連鎖的に上がる。
 今回の講演会は宗教的な意味合いをもつものだった為、反対組織のテロだろう。
 あたしはすぐに要人の元に走り、屋内へ。
 そのあたしの背中に、聞き慣れた銃声。
 少し嫌な予感がした。
 狙撃手は、言葉の通り一撃必殺な事が多い。しかしこれは裏を返せば、一度撃ってしまうと場所の特定もされやすく、人数が多いときにはあまり向かない事もおおいのだ。
 アーヴァインの事だ、うまく移動するだろう。
 そうは信じていても、胸に染みついた嫌な予感はまだ渦巻いている。
 きっと、あの銃声が早すぎたからだ。
 テロリストを潰すには、ボスを潰してやればいい。
 後は統率を失った集団を押さえるだけだ。
 彼ならば見えない位置からボスを見抜き、撃ち抜くことなどたやすいだろう。
 少しあたしが思ったより早かっただけだ。


 その日、ふと戯れにその話をしてみた。
 アービンの腕は信じてるのにね、と笑ってみせると、思いの外真剣な顔をしたアーヴァインと目が合った。
「ありがと、セフィ」
「な、なにが?」
「僕のこと心配してくれたんだよね~嬉しいなぁ~」
 いつものへらへら笑いではなく、本当に嬉しくて笑ってる顔だ。
 ついでにぎゅーっと抱きしめられ、硝煙のニオイがぷんと鼻につく。
 低い声が耳元で囁いた。
「前にも言ったけど狙撃手ってね、本当に孤独なんだ。しかも、リスクもすごく大きい。位置を把握されちゃったら、大人数相手だと囲まれる危険性もあるし、見つかったら勿論命はないよね。確実に仇だもん。捕虜になる可能性はゼロに近いし、もしなったとしてもその拷問は一般兵士の比じゃないよ」
 それは、知識としては知っていた。
 けど今、改めて思う。
 この人は、あたしが助けられない場所にいるんだ。
 どこにも行かないでね。
 お願いだから、どこにも行かないで。
PR
COMMENT
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
TRACKBACK
この記事にトラックバックする:




カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新CM
最新記事
(04/19)
(04/17)
(04/17)
(03/18)
(02/14)
最新TB
プロフィール
HN:
まゆゆ
性別:
非公開
自己紹介:
 女性向け小説を書きたい!
 
 そういう意味わからん情熱が突っ走った結果のブログです。

 愛はあふれてますが、時たまわかりにくいです。
バーコード
ブログ内検索
最古記事
(08/01)
(08/01)
(08/01)
(08/03)
(08/03)
フリーエリア
Design by Nijiko [SUCUREなオカメインコ]
忍者ブログ [PR]