色々
2009/09/30/Wed
くすくすくすくす。
夕日に染まる空を背景に佇む小さな神社。
町の人すらその存在をうっかり忘れがちなほどこぢんまりとした神社だが、なかなかに立派な白狐の像が入り口を守っている。
くすくす。
羽をこするような密やかな笑い声が、誰もいない神社に響く。
「今夜もお祭りだね」
「今夜もお祭りだな」
「美味しい物食べられるといいね」
「美味しい物食べられるといいな」
そして俺はそんなのをうっかり目撃してしまったわけだが。
冷や汗をだらだら流しながら固まっていると、ふとそいつらが目を上げた。
ばちっと目が合う。
「おや、お客様だね」
「おや、お客様だな」
「何を怯えているんだい?」
「何に怯えているんだい?」
「それにしても君は美味しそうな色をしているね」
「それにしても君は美味しそうな色をしているな」
「ちょっと舐めてもいいかい?」
「ちょっと囓ってもいいかい?」
嗜虐的な笑顔を浮かべながら、長い舌をちろちろ伸ばす、ヤツら。
綺麗な真っ白の毛皮から覗く赤が凶悪すぎて卒倒しそうになる。
冗談ではなく、足下が歪んだ。ような気がした。
「ふふ、冗談だよ」
「はは、冗談だよ」
「ほんの悪戯だよ?」
「ほんのちょっと本気だけどね?」
今区別がついた。性格悪い方が首に青い玉をかけていて、まだマシな方が赤い首かけを巻いている。
「あ、あの、」
冷や汗を振り払い、必死で言葉を探す。
二対の金褐色の瞳に見据えられ、言葉がのどから出てこなくなる。
「はて、虐めすぎたか」
「ひどい奴よのう、お主は」
「主に言われとうないわ」
「主に言われとうないわ」
「あの!」
放っとくといつまでも続きそうな漫才に痺れを切らし、大きな声が出た。
夕日に染まる空を背景に佇む小さな神社。
町の人すらその存在をうっかり忘れがちなほどこぢんまりとした神社だが、なかなかに立派な白狐の像が入り口を守っている。
くすくす。
羽をこするような密やかな笑い声が、誰もいない神社に響く。
「今夜もお祭りだね」
「今夜もお祭りだな」
「美味しい物食べられるといいね」
「美味しい物食べられるといいな」
そして俺はそんなのをうっかり目撃してしまったわけだが。
冷や汗をだらだら流しながら固まっていると、ふとそいつらが目を上げた。
ばちっと目が合う。
「おや、お客様だね」
「おや、お客様だな」
「何を怯えているんだい?」
「何に怯えているんだい?」
「それにしても君は美味しそうな色をしているね」
「それにしても君は美味しそうな色をしているな」
「ちょっと舐めてもいいかい?」
「ちょっと囓ってもいいかい?」
嗜虐的な笑顔を浮かべながら、長い舌をちろちろ伸ばす、ヤツら。
綺麗な真っ白の毛皮から覗く赤が凶悪すぎて卒倒しそうになる。
冗談ではなく、足下が歪んだ。ような気がした。
「ふふ、冗談だよ」
「はは、冗談だよ」
「ほんの悪戯だよ?」
「ほんのちょっと本気だけどね?」
今区別がついた。性格悪い方が首に青い玉をかけていて、まだマシな方が赤い首かけを巻いている。
「あ、あの、」
冷や汗を振り払い、必死で言葉を探す。
二対の金褐色の瞳に見据えられ、言葉がのどから出てこなくなる。
「はて、虐めすぎたか」
「ひどい奴よのう、お主は」
「主に言われとうないわ」
「主に言われとうないわ」
「あの!」
放っとくといつまでも続きそうな漫才に痺れを切らし、大きな声が出た。
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