色々
2011/05/11/Wed
「でも私は氷河が好きなんだ」
水が溢れそうなコップにピンク色の花びらをそっと浮かべるように、零れそうな涙を自分の中にぎゅっと押し戻すように、たんぽぽの綿毛がをふっと吹くように、慎重に紡ぎ出す。
届いて。あなたの扉に触れるだけでもいい。
「今までは、触ってるだけで満足だったけど、でも、この前のことでそうじゃないってわかった」
手を伸ばせば届く距離の氷河の背中を見詰めながら、拳を握る。決して手は伸ばさない。
もう言葉も思い浮かばない。
どうしようかと必死で探していると、不意に氷河が口を開いた。
僅かに半身になった肩越しに、強ばった表情が見える。
「ホルモンが安定してないなんか言い訳だ」
言葉が刃になり、ばっさり斬られる。
元々切れ長な目を更に鋭くし、氷河は言い募る。
「ただ単にワガママなだけ。自分で自分を律せないだけ。中途半端に強い力持っちゃってるものだからそのワガママを増長し続けた結果だ今の状況は」
俺は、雷を、信用できない。
言外に伝えられた言葉は正確に音となりこの耳朶を打つ。身体が我知らず震え、目が自然と伏せようとする。駄目だ、氷河から目を逸らしちゃ駄目だ。
自分自身に鞭を打ち、必死で顔を上げる。今まで氷河は私から逃げなかった。だから私も逃げちゃ負けだ。
「自分の思い通りに行かないとすぐ力で解決しようとするし、すぐ焼き餅焼いた挙げ句報復がえげつねぇし、すぐ発情して盛るわ、正直、『今日はなにされるのか』って怖ぇよ」
淡々とした言葉は思ったより私を傷つけない。
「だけど」
そんな潤んだ瞳で罵られたって怖くない。
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水が溢れそうなコップにピンク色の花びらをそっと浮かべるように、零れそうな涙を自分の中にぎゅっと押し戻すように、たんぽぽの綿毛がをふっと吹くように、慎重に紡ぎ出す。
届いて。あなたの扉に触れるだけでもいい。
「今までは、触ってるだけで満足だったけど、でも、この前のことでそうじゃないってわかった」
手を伸ばせば届く距離の氷河の背中を見詰めながら、拳を握る。決して手は伸ばさない。
もう言葉も思い浮かばない。
どうしようかと必死で探していると、不意に氷河が口を開いた。
僅かに半身になった肩越しに、強ばった表情が見える。
「ホルモンが安定してないなんか言い訳だ」
言葉が刃になり、ばっさり斬られる。
元々切れ長な目を更に鋭くし、氷河は言い募る。
「ただ単にワガママなだけ。自分で自分を律せないだけ。中途半端に強い力持っちゃってるものだからそのワガママを増長し続けた結果だ今の状況は」
俺は、雷を、信用できない。
言外に伝えられた言葉は正確に音となりこの耳朶を打つ。身体が我知らず震え、目が自然と伏せようとする。駄目だ、氷河から目を逸らしちゃ駄目だ。
自分自身に鞭を打ち、必死で顔を上げる。今まで氷河は私から逃げなかった。だから私も逃げちゃ負けだ。
「自分の思い通りに行かないとすぐ力で解決しようとするし、すぐ焼き餅焼いた挙げ句報復がえげつねぇし、すぐ発情して盛るわ、正直、『今日はなにされるのか』って怖ぇよ」
淡々とした言葉は思ったより私を傷つけない。
「だけど」
そんな潤んだ瞳で罵られたって怖くない。
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