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色々
2025/01/24/Fri
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2009/11/06/Fri
「ねえ」
 最近は、声の温度で分かるようになってしまった。
 雷が、発情してる時が。
「あ、雷。どうしたの?」
 それでも気づかないふりをする。
 発情してるときの雷は必死な事が多いので、こちらが気づいていることに気づかない。
 どうすればこっちがその気になるのか、悩んでる。
 ただ、こっちも必死だ。
 どうやってうまく躱そうか悩むのはやめた。
 どうすれば強姦にならないように持って行くか考えることにした。
 
 事の起こりは2ヶ月前、雷とこういう関係になってすぐだ。
 雷はホルモンの影響からか、発情期がすぐにくる。
 その度に誘われるのだけど、元々淡泊なのでその気にならない事がほとんどで、誘いに乗ったとしてもすぐに寝てしまったり、断ったりしてた。
 そしたら、ついに雷がぶち切れた。
 
 帰宅してすぐに、部屋にただならぬ空気が充満している事に気づいた。
 どこかからか漂う、強烈な敵意のようなもの。
 その烈しさをどこかで感じたことがあるのだが分からず、何食わぬ顔をしながら発生源を探す。
 炎か? 最近は闇討ちに遭うような喧嘩をした覚えはないが。
 それか、雷に隠してる事がどれかバレたか?
 どちらかによって対応が変わってくる。一瞬悩んだスキを突かれ、反射的に防御姿勢を取った時には息が詰まり身体は硬直してしまっていた。
 雷かぁ……。
 どれがバレたんだ?
 その内容によっては火に油なので、すんでの所で反撃は控えた。
 ただ無抵抗にやられるのは趣味じゃないので、身の周りを覆うように薄い氷の膜を張る。
「…………何」
 手出しできないようにしてから、痛みを堪えて口を開く。
「何も」
 冷ややかな声がすぐ後ろから聞こえて、ちょっと肌が粟立った。
 何、この重たい声。
「じゃあ何で自室で兄弟に攻撃を受けているのかの理由が全く分からないのですが」
 自分の身体をかき抱くようにして呼吸を整えていると、雷の振り上げた拳であっけなく氷が割れた。
 え、そんな簡単に割れるような厚みじゃなかったはずだけど。
 視界が反転し、ベッドに引きずり込まれる。
 何も抵抗しないのを良いことに、乱暴にカッターシャツを引き裂かれる。
 この時点でやっと、何がしたいのか気がついた。
「雷!」
 咎めるように名を呼ぶと、手首を噛まれた。
 真っ白な肌を伝うほどの流血に引く。
 それでも身体を反転させ、雷に背を向けて蹲る。
 背中を見せることになるが、仕方がない。正面には急所が……。
 その背中に叩きつけるように舌打ち。
 それ、こっちがしたいから。
 頬に手を添えられ、無理矢理顔を向けさせられる。馬鹿力め。
「何で抵抗するの」
「しないわけないだろ、何だよ」
 ちょっと苛々しながら吐き捨てると、冗談抜きで空気が凍った、ように感じた。
 そのまま洒落にならないくらいの電撃を直に叩き込まれる。
 しかも、顔から……!!
 冗談抜きで目が飛び出るかと思った。
 脳髄を力任せに揺さぶられたような衝撃。
 気を失っていたのは一瞬だったようだが、この状況の俺には長すぎる。
 硬直した身体を無理矢理広げられ、雷が潜り込んでくる。
 喉に噛み付かれ、やわらかな皮膚が裂ける。ぞわりと恐怖が這い上がった。
 逃げようと身を捩ると、すごい力で押さえつけられた。
 本当にやめて欲しくて雷を仰ぎ見ると、泣きそうになった目がこちらを見据えていた。
「抵抗しないでよ」
 こちらが怯んだ瞬間、目付きが獣のようなものに変わった。
「ね、だからお願い」
 言葉だけなら甘い蜜のように脳を蕩かすが、身体の痛みは依然続いている。
 それでも無理矢理探られ、痛みの中でも快感を拾い始める身体が恨めしい。
 本当に雷が好きなら、死にものぐるいで抵抗すべきなのか。
 無抵抗なのがいいことなのか。
 だが、そういった偽善的な思いは電撃込みの愛撫で溶ける。
 既に勃ち上がった自身はドロドロになり、情けなさと快感で涙が出てくる。
 体液によって通りやすくなった電流が弱いところを刺激し、我知らず腰が揺らめく。
「やらし」
 ニヤニヤ笑われ、羞恥で爆発しそうだ。
「ほら、もういっちゃいなよ」
 どんどん電流を強くされ、過ぎた快感で苦しくなる。
 唇からは意味のある言葉が出てこない。
 手も足も出せない俺を獰猛な目で見ていた雷が不意に、電流の鋭さを変えた。
「---ッ!! ぁ……ッ!」
 甲高い悲鳴が最初、自分のクチから出たものとは信じられなかった。
「なに……っ、らい、いやッ」
「前立腺狙ってみたんだ。あたってる?」
 そりゃもう。
 必死で雷を押しのけようと腕を突っ張るが、身体全体で抱え込まれこれ以上身動きが取れない。
「やだやだやだやだ……ッ や、だぁ」
 恥ずかしいとか言ってられず、壊れたレコードのように繰り返す。
 息の吸い方が分からない。
「お願い、らい、やだ、なんか漏れる……ッ やめッ、やだぁ!」
 とにかく藻掻き続けるが、どれだけ逃げようとしても快感は追ってくる。
 無理矢理高められる身体を持てあまし、吐き出したいのかやめて欲しいのか自分でも意識できないままただただ拒否の言葉をこぼし続ける。
 目を開いてるのか閉じてるのか、自分でも分からない。何も見えない。
 ただ、雷の悲しそうな顔は見えた。
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