色々
2009/03/01/Sun
「そうだね、言葉ではまだもらってないけどね」
アタシが答えるより早く、アタシを抱きしめている男が答える。
「テメェには聞いてない」
依頼人に向かってテメェ……。
「ベラ、どうなんだ」
どう答えるのが正解なんだろう。
どの答えが自分の答えなんだろう。
業を煮やしたのか、何か言おうとしたダムーより先に口を開いた者がいた。
「とにかく宿に戻ろうか。いいトコで水もさされちゃったことだしね」
依頼主だ。
そう言ってあっさりとアタシを解放し、さっさと歩き出す。
その後ろ姿を睨み付けたまま、動こうとしないダムー。
とりあえず護衛しなくちゃね……と歩き出した時、すごい力で腕を掴まれた。
「宿に着いたら、その匂い落とせ」
こちらの目を見ずに、硬化した空気のまま告げられる。
「……わかった」
アタシも何故か目を見ることが出来ず、そのまま別れた。
「痛っ……!」
突然の出来事だった。
宿で風呂場を借り、一人部屋で悶々としているといきなり後ろから腕を捻りあげられた。
「ちょっと、何のつもりよ!」
「あそこで俺が出て行かなかったら、おまえどこまで許した?」
うまく答えられない。
「わからないわよ……でも雰囲気でそういうことになる時ってあるじゃない」
最後の抵抗として言った言葉が、まずかったらしい。
急に無言になると、有無を言わせず下着に手を入れてきた。
「ちょっと……待って! 今日はそんな気分じゃ……っ」
急所を掴まれて言葉が途切れる。
いい加減慣れた身体は素直に反応し始めるが、こちらも意地だ。
声も上げず、顔も見ず、じっと嵐が過ぎ去るのを待つ。
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