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色々
2025/03/09/Sun
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2008/08/28/Thu
 抵抗は意味をなさない。
 何故この獲物はそれに気がつかないのだろう?

 ダムーはぼんやりとした意識でその事ばかり考えていた。
 まあいい。
 キモチヨクすれば、いずれ抵抗もとまるだろう。
 ズボンを脱がそうとすると、今までで一番大きな抵抗がきた。
 この抵抗が弱まり、歓喜で鳴くのはとても楽しいだろう。

 そう思ったのも束の間、その獲物に自分と同じものがついていると気付いて一瞬にして目が覚めた。
 目の前にあるのは、乱された服をしっかり握りしめ、瞳に涙を溜め、目元を赤く染めた“彼”の異常に色っぽい姿だった。
 白いシャツから覗く、眩しいほど白い肌にくらりとする。
 黒曜石のような、涙でけぶる瞳に吸い込まれそうになる。
 思わず下半身が熱くなった自分に愕然とし、何も言えないまま逃げ出した。

 最低だ。


「本当に最低ね」
 そしてただいま修羅場中。
 青ざめてはいるが、普段の戦闘時より3割り増しくらいの圧力を持ったベラの瞳に見据えられ、何も言えずにうなだれる。
 ここ3日ほど徹底的に避けた。
 爬虫類(厳密に言えばベラもそうなのだが)を避けるのと同じくらいの勢いで避けた。
 ケイティとヴィンスが訝しがる、を通り過ぎて警戒するほど避けた。
 が。
 宿に落ち着きほっと気を抜いた瞬間、音も気配もなく背後に忍び寄られ、逃げようという素振りを見せれば鞭が唸る。
 残念なことに、こちらは丸腰だ。
 冷ややかな眼差しで「先日はどうもありがとう」
 心臓が、もたない。

「で?」
 で、と言われましても。
 発情期でした、すんません。ではすまされないことは重々承知だ。
「あんな事しておきながら逃げ回るなんて。本当に最低ね」
 言葉が突き刺さる。
「何か言い訳はないわけ?」
 鞭を握る手に力が入るのが見えた。
 絞殺、の二文字が頭をよぎる。
 それとは別に、その白さが目に焼き付く。
 ああ、もう、末期だ。
 きっと、ベラも気付いている。
 自分が本気になれば、ベラが鞭を持っていようがなかろうが、そんなものは抵抗にならない事だと。
 それでも、こうしているということは、どういうことなのだろうか。
 頭が悪いからわからないが、下手な事が出来ないという事はわかった。
「何かしゃべったらどうなの?」
 苛々してきている尖った声に、我に返る。
 だからといって言葉が思い浮かぶわけではなく、結局はまたうなだれる。
 ひゅっ、と鞭が風を切り、肌が粟立つ。
「……すまん」 
 絞り出した言葉は結局そんなもので。
 もういっそその鞭で打って欲しいとさえ思った。
「…………いい加減にしてよ」
 俯いているので表情はわからないが、声には確実に涙がにじんでいた。
 そう気付くや否や、体が動いていた。


「馬鹿じゃないの!!!!」
 柳眉を逆立て、涙が零れた事に気付かずベラは騒々しく部屋を出て行った。
 何故か鞭ではなく、手近にあった椅子で叩きのめされたダムーは、一人部屋で苦笑する。
 抱きしめてしまった。
「これからどうすっかなぁ……」
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