色々
2008/09/24/Wed
「いらっしゃいませ」
明るく、爽やかで、伸びやかで、麗しい声がフロアに響く。
ご案内中のお客様が、ん? というように声の方を一瞥し、そしてすぐに二度見。ガン見。
まあ、別にいつものことだ。
メニューを持ってお客様を先導しながら、彼女を十分堪能出来るように心なしか歩く速度を緩める。
相好を崩す。
この言葉の意味を実感出来るようになったのも彼女のお陰だ。本当にありがとうございます。もう結構です。
要するに、ものっすごい美人なのだ。
黒く長い髪を一纏めにしてシニヨンに。
前髪は7:3くらいで流し、おでこにかからないように。
みんなと同じ制服。
クローンか! というくらいに似た格好の女性スタッフの中、否、似たような格好だからこそ、彼女の美しさは際だっていた。
現に、今ご案内中のお客様は、ほんわかした眼差しで彼女を凝視している。
カウンター席のお客様に笑顔のシャワーを降らせる彼女は、それはそれは清楚で美しかった。
(そろそろかな……)
後ろを振り返ると、カウンターを未練がましく見つめるお客様。足が止まりかけてます。
「あの……」
「カウンターは全席禁煙でございますが……」
お客様の顔に「何でわかった」の文字。
申し訳ございません、私がご案内係に入ってから、お客様で7人目です。
比較的閑散とした時間帯の、たった1時間で。
煙草と彼女を比べて、結局煙草が勝ったお客様をゆっくりご案内しながら、心の中でそっとため息をついてしまった。
ああ、まだ勤務開始から1時間しか経ってないのに。
テンションはあがらないまんま。
麗しの彼女は、梶浦あやさんという。
「お待たせ」
その笑顔で何人騙したんだ! というくらい可愛らしく且つ上品な微笑をたたえたあやさんが私の元に歩いてきた。
うん、目の端で何人ものお客様に意味もなく呼び止められてるのを見たから、大丈夫。
むしろそのまま来なくても大丈夫だったのですよ。
……うん。今日は大型の宴会があるから一人じゃ正直辛いけど。
「予約等特にありません。引き継ぎは……お荷物のお預かりが……」
「はぁい」
お、今日はまだご機嫌だ。
淡々と引き継ぎをしていると見せかけながら、ご機嫌伺いをするのにも慣れた。
正面玄関、フロント、タクシー乗り場がざわつき出す。
私は正直この瞬間が苦手だ。
これからお店が忙しくなる! そんな予感に溢れすぎていて、荷が重いと言うか何というか。
それと同時に、さあ、どうやってご案内しようか、と楽しみな気持ちも滲み出してくる。
ご案内係に決まってからしばらくは、この楽しみな気持ちが一切出てこず、かなり苦しんだ。
今と同じように、隣で楽しそうに微笑むあやさんが信じられなかった。
明るく、爽やかで、伸びやかで、麗しい声がフロアに響く。
ご案内中のお客様が、ん? というように声の方を一瞥し、そしてすぐに二度見。ガン見。
まあ、別にいつものことだ。
メニューを持ってお客様を先導しながら、彼女を十分堪能出来るように心なしか歩く速度を緩める。
相好を崩す。
この言葉の意味を実感出来るようになったのも彼女のお陰だ。本当にありがとうございます。もう結構です。
要するに、ものっすごい美人なのだ。
黒く長い髪を一纏めにしてシニヨンに。
前髪は7:3くらいで流し、おでこにかからないように。
みんなと同じ制服。
クローンか! というくらいに似た格好の女性スタッフの中、否、似たような格好だからこそ、彼女の美しさは際だっていた。
現に、今ご案内中のお客様は、ほんわかした眼差しで彼女を凝視している。
カウンター席のお客様に笑顔のシャワーを降らせる彼女は、それはそれは清楚で美しかった。
(そろそろかな……)
後ろを振り返ると、カウンターを未練がましく見つめるお客様。足が止まりかけてます。
「あの……」
「カウンターは全席禁煙でございますが……」
お客様の顔に「何でわかった」の文字。
申し訳ございません、私がご案内係に入ってから、お客様で7人目です。
比較的閑散とした時間帯の、たった1時間で。
煙草と彼女を比べて、結局煙草が勝ったお客様をゆっくりご案内しながら、心の中でそっとため息をついてしまった。
ああ、まだ勤務開始から1時間しか経ってないのに。
テンションはあがらないまんま。
麗しの彼女は、梶浦あやさんという。
「お待たせ」
その笑顔で何人騙したんだ! というくらい可愛らしく且つ上品な微笑をたたえたあやさんが私の元に歩いてきた。
うん、目の端で何人ものお客様に意味もなく呼び止められてるのを見たから、大丈夫。
むしろそのまま来なくても大丈夫だったのですよ。
……うん。今日は大型の宴会があるから一人じゃ正直辛いけど。
「予約等特にありません。引き継ぎは……お荷物のお預かりが……」
「はぁい」
お、今日はまだご機嫌だ。
淡々と引き継ぎをしていると見せかけながら、ご機嫌伺いをするのにも慣れた。
正面玄関、フロント、タクシー乗り場がざわつき出す。
私は正直この瞬間が苦手だ。
これからお店が忙しくなる! そんな予感に溢れすぎていて、荷が重いと言うか何というか。
それと同時に、さあ、どうやってご案内しようか、と楽しみな気持ちも滲み出してくる。
ご案内係に決まってからしばらくは、この楽しみな気持ちが一切出てこず、かなり苦しんだ。
今と同じように、隣で楽しそうに微笑むあやさんが信じられなかった。
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