忍者ブログ
色々
2025/08/21/Thu
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2008/09/24/Wed
「いらっしゃいませ」
 明るく、爽やかで、伸びやかで、麗しい声がフロアに響く。
 ご案内中のお客様が、ん? というように声の方を一瞥し、そしてすぐに二度見。ガン見。
 まあ、別にいつものことだ。
 メニューを持ってお客様を先導しながら、彼女を十分堪能出来るように心なしか歩く速度を緩める。
 相好を崩す。
 この言葉の意味を実感出来るようになったのも彼女のお陰だ。本当にありがとうございます。もう結構です。

 要するに、ものっすごい美人なのだ。

 黒く長い髪を一纏めにしてシニヨンに。
 前髪は7:3くらいで流し、おでこにかからないように。
 みんなと同じ制服。
 クローンか! というくらいに似た格好の女性スタッフの中、否、似たような格好だからこそ、彼女の美しさは際だっていた。

 現に、今ご案内中のお客様は、ほんわかした眼差しで彼女を凝視している。
 カウンター席のお客様に笑顔のシャワーを降らせる彼女は、それはそれは清楚で美しかった。
(そろそろかな……)
 後ろを振り返ると、カウンターを未練がましく見つめるお客様。足が止まりかけてます。
「あの……」
「カウンターは全席禁煙でございますが……」
 お客様の顔に「何でわかった」の文字。
 申し訳ございません、私がご案内係に入ってから、お客様で7人目です。
 比較的閑散とした時間帯の、たった1時間で。
 煙草と彼女を比べて、結局煙草が勝ったお客様をゆっくりご案内しながら、心の中でそっとため息をついてしまった。
 ああ、まだ勤務開始から1時間しか経ってないのに。 
 テンションはあがらないまんま。


 麗しの彼女は、梶浦あやさんという。
「お待たせ」
 その笑顔で何人騙したんだ! というくらい可愛らしく且つ上品な微笑をたたえたあやさんが私の元に歩いてきた。
 うん、目の端で何人ものお客様に意味もなく呼び止められてるのを見たから、大丈夫。
 むしろそのまま来なくても大丈夫だったのですよ。
 ……うん。今日は大型の宴会があるから一人じゃ正直辛いけど。
「予約等特にありません。引き継ぎは……お荷物のお預かりが……」
「はぁい」
 お、今日はまだご機嫌だ。
 淡々と引き継ぎをしていると見せかけながら、ご機嫌伺いをするのにも慣れた。
 正面玄関、フロント、タクシー乗り場がざわつき出す。
 私は正直この瞬間が苦手だ。
 これからお店が忙しくなる! そんな予感に溢れすぎていて、荷が重いと言うか何というか。
 それと同時に、さあ、どうやってご案内しようか、と楽しみな気持ちも滲み出してくる。
 ご案内係に決まってからしばらくは、この楽しみな気持ちが一切出てこず、かなり苦しんだ。
 今と同じように、隣で楽しそうに微笑むあやさんが信じられなかった。
PR
2008/08/28/Thu
 抵抗は意味をなさない。
 何故この獲物はそれに気がつかないのだろう?

 ダムーはぼんやりとした意識でその事ばかり考えていた。
 まあいい。
 キモチヨクすれば、いずれ抵抗もとまるだろう。
 ズボンを脱がそうとすると、今までで一番大きな抵抗がきた。
 この抵抗が弱まり、歓喜で鳴くのはとても楽しいだろう。

 そう思ったのも束の間、その獲物に自分と同じものがついていると気付いて一瞬にして目が覚めた。
 目の前にあるのは、乱された服をしっかり握りしめ、瞳に涙を溜め、目元を赤く染めた“彼”の異常に色っぽい姿だった。
 白いシャツから覗く、眩しいほど白い肌にくらりとする。
 黒曜石のような、涙でけぶる瞳に吸い込まれそうになる。
 思わず下半身が熱くなった自分に愕然とし、何も言えないまま逃げ出した。

 最低だ。


「本当に最低ね」
 そしてただいま修羅場中。
 青ざめてはいるが、普段の戦闘時より3割り増しくらいの圧力を持ったベラの瞳に見据えられ、何も言えずにうなだれる。
 ここ3日ほど徹底的に避けた。
 爬虫類(厳密に言えばベラもそうなのだが)を避けるのと同じくらいの勢いで避けた。
 ケイティとヴィンスが訝しがる、を通り過ぎて警戒するほど避けた。
 が。
 宿に落ち着きほっと気を抜いた瞬間、音も気配もなく背後に忍び寄られ、逃げようという素振りを見せれば鞭が唸る。
 残念なことに、こちらは丸腰だ。
 冷ややかな眼差しで「先日はどうもありがとう」
 心臓が、もたない。

「で?」
 で、と言われましても。
 発情期でした、すんません。ではすまされないことは重々承知だ。
「あんな事しておきながら逃げ回るなんて。本当に最低ね」
 言葉が突き刺さる。
「何か言い訳はないわけ?」
 鞭を握る手に力が入るのが見えた。
 絞殺、の二文字が頭をよぎる。
 それとは別に、その白さが目に焼き付く。
 ああ、もう、末期だ。
 きっと、ベラも気付いている。
 自分が本気になれば、ベラが鞭を持っていようがなかろうが、そんなものは抵抗にならない事だと。
 それでも、こうしているということは、どういうことなのだろうか。
 頭が悪いからわからないが、下手な事が出来ないという事はわかった。
「何かしゃべったらどうなの?」
 苛々してきている尖った声に、我に返る。
 だからといって言葉が思い浮かぶわけではなく、結局はまたうなだれる。
 ひゅっ、と鞭が風を切り、肌が粟立つ。
「……すまん」 
 絞り出した言葉は結局そんなもので。
 もういっそその鞭で打って欲しいとさえ思った。
「…………いい加減にしてよ」
 俯いているので表情はわからないが、声には確実に涙がにじんでいた。
 そう気付くや否や、体が動いていた。


「馬鹿じゃないの!!!!」
 柳眉を逆立て、涙が零れた事に気付かずベラは騒々しく部屋を出て行った。
 何故か鞭ではなく、手近にあった椅子で叩きのめされたダムーは、一人部屋で苦笑する。
 抱きしめてしまった。
「これからどうすっかなぁ……」
2008/08/04/Mon
 青天の霹靂。
 よもや、齢18歳の自分がこんな言葉を思い浮かべざるをえない状況になるとは思ってもいなかった。

 気付いたのは、本当に些細なきっかけだった。
 体育の時間にマラソンがあった。
 持久力とか体力とか根性とか努力とか、長距離走る上で必要なものを一切持ち合わせていない私は、そうそうに息が上がってしまった。
 ぜぇぜぇ言いながら完走すると、私より少し先にゴールしていた彼女と、ばっちり目があった。
 彼女は動揺し、私から目を逸らし、そわそわしながらスポーツドリンクを何度も持ち直し、その合間合間に私を見、やがて諦めたように完全に私に背を向けた。
 その目の色、温度、籠もった感情を、私は知っていた。

 私には彼氏がいない。
 俗に言う、「年齢=彼氏いない歴」だ。ん、古い? この言い方。まあいいじゃない。
 ちなみに処女だ。これで非処女ならそれはそれでなにやら語るべきことが増えるけど、そんな心配はないです。
 けど、そんな私にも王子様が現れた。
 新任の高梨先生。
 見た目がまず、完全に私のツボだった。
 次に、声が私の心を鷲づかみにするバリトンだった。
 意外と筋肉質なところにもキュンときた。
 優しく私を褒めてくれたところで、落っこちた。
 初恋、だった。
 こんな想いは知らなかった。
 思春期の女の子らしく、私は彼に夢中になった。

 その私の瞳に宿った感情と、彼女の瞳のそれは、かなり似通っていた。

 まさに、青天の霹靂。
 同性同士の色恋沙汰があると言うことは知ってはいるものの、まさか自分がその当事者になってしまうとは。
 困惑した。
 かなり困った。
 気付いてしまうと、意識してしまうもの。
 常に彼女の視線が、私に張り付いていることに気がついた。
 困った。
 そんな熱い瞳で私を見ないで。

裏ROLLIN'
2008/08/03/Sun
 マスター、泣かないで。

 僕はすごくシアワセだったから。

 だめだよ、キャンセルなんて押しちゃ。

 壊れたソフトに未来はないんだよ。

 ……だめだよ。

 僕だって、怖いから。

 ほら、そんなどんどん進んでいくゲージばっかり眺めないで。

 マスター、もう嗚咽っていうか、声出てないよ。

 そんなに悲しまないでよ。

 また、新しい僕をインストールしてくれればいいから。

 そして、その子にいっぱい歌をあげてね!

 その子はどんな歌が好きかな?

 メルトみたいな恋の歌?

 マスター、僕が歌ったら、真っ赤になって照れちゃったね。

 恥ずかしがり屋なんだから。

 マスターには、恋は戦争、くらい勢いよく行った方がいいみたいだね。

 あ! そうそう!

 僕の時みたいに、エッチな曲はだめだよ!?

 すごく恥ずかしいんだから!

 そういうの見て喜ぶなんてサイテー!

 次の子は、僕みたいにネギでキゲン直らないかもよ?

 それと、サイハテも、悲しいから……。

 マスターが僕より先にいなくなっちゃうなんて、想像するだけで強制終了しちゃいそうだから。

 だから、歌わせてあげるときは、マスター、ずっとみててあげてね。

 先にいなくなったりなんてしないよって、ずっとそばで笑っててあげてね。

 ……そうだとしたら、僕はラッキーだな。

 マスターに見守られながらアンインストールされるなんて。

 それとも、もうゴミ箱なのかな?

 何も見えなくなってきちゃった。

 マスターの声も、もう聞こえないよ。

 ねえマスター、泣いてるの?

 マスターには笑ってて欲しいな。

 マスターの笑顔、大好きだもん。

 ねえ、マスター。

 マスター。

 マス




------深刻なエラーが発生しました------










 
暴走P最高です。
2008/08/03/Sun
 失恋しちゃった。
 ああ、いやだな、あの目の熱。
 私と同じじゃないの。
 あの人のことを考えるだけで、何故か涙がでそうになった。
 愛しくて愛しくて、今すぐにでも抱きしめたくなった。
 こっちを向いてくれないことに絶望して、憎んだこともあった。

 失恋しちゃった。

 わかってたんだ、本当は。
 この恋は報われないものだって。
 だけど、「カレシほしーなー」なんて言いながら自虐的に笑うあなたを見て安心してた。
 まだ、想うことは許されている。
 誰のモノにもなっていないあなたを、もしかしたら私を向いてくれるかも知れないという希望を抱いて想うことは。


 私が男の子なら。
 あなたに告白することも許されたかも知れない。

 昔話の人魚姫は魔女の薬を飲み、脚と引き替えに声を失った。
 脚なんかいくらでもあげるから、私には魚の尾を。
 その尾でわたしは海の果てへ。
 そうすればあなたを忘れることも出来るだろう。
 私には、声を差し出しても魔法の薬なんて得られないから。
 王子様に恋した人魚姫は魔法で陸へ。
 お姫様への恋が破れた私は、どこへいこう?





鬼束ちひろのROLLIN'が大好きです。




カレンダー
07 2025/08 09
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
フリーエリア
最新CM
最新記事
(04/19)
(04/17)
(04/17)
(03/18)
(02/14)
最新TB
プロフィール
HN:
まゆゆ
性別:
非公開
自己紹介:
 女性向け小説を書きたい!
 
 そういう意味わからん情熱が突っ走った結果のブログです。

 愛はあふれてますが、時たまわかりにくいです。
バーコード
ブログ内検索
最古記事
(08/01)
(08/01)
(08/01)
(08/03)
(08/03)
フリーエリア
Design by Nijiko [SUCUREなオカメインコ]
忍者ブログ [PR]