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色々
2025/03/10/Mon
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2009/11/15/Sun
 右腕が弾き飛ばされ、床にぶつかり重い音を立てる。
 痛みはないがひどく不快だ。
 暴発を避けるために、根本を切り離す。火花が散って嫌な音を立てた。
 5分ほどですでに息が上がってしまっている自分が情けないが、しょうがない。
 あーもう本当に何でこんなことになってるんだよ正直勘弁してくれよ死にたくねぇよ。
 ぐだぐだ考えている間にも、修羅場を叩き込まれた身体は流れるような動きで換えの銃身を取り出す。
 視野を補正する機能付きゴーグルと最近新しくしたばかりのスコープのお陰で、ある程度の速度の相手ならば苦にならない。
 それでも本気で狙わなければこちらがやられるということは重々承知しているが、手元が狂う。
 効果のない威嚇射撃にしかならず、照準の上にいた人物はあっさりと身を翻した。
 舌打ちをしながら腕を振ってリロードし、再び構えるもその頃には攻撃範囲内に取り込まれていた。
 このままだとやられる。
 咄嗟に腕で顔を庇うと、目の前の相手はあからさまに動揺した。
 その隙に隠していた右腕を突き出し、外しようのない距離で打ち放った。
 声もなく崩れ落ちた彼を抱き留め、あまりにも馬鹿馬鹿しくて思わず笑ってしまった。
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2009/11/11/Wed
「この傷は誰のせいなの?」
 ソファの上に押し倒してマウントポジションを取ってから、顔の横を両腕で挟み込み、わざと体温を上げる。
 気丈にも睨み付けてくるが、こめかみに汗が流れているのを見逃さない。
 そうだよね、当たったらすごい火傷になっちゃうもんね。
「怖いよねーごめんねー。素直に吐いたらとっとと解放してやるけど?」
 蒼白になった氷河の顔色に、あ、こんな言い方したら素直に吐かないかー、と気づく。
「ねえ」
 わざと頬に触れようとすると、ビクッとして身を引く。
 前まではこんなことなかった。
 どんな状況下でも冷静に判断し、こちらの隙を突いて攻撃してくる奴だった。
 いや、今でもほとんど変わっていない。
 ただ、1点を除いては。
「別にお前に関係ないだろ」
 ブリザードのような、冷ややかな視線、声。
 いつも通りなのに、わずかに掠れてることに気が付く。
 この体勢が、怖いんだ。
「関係ない? へえ?」
 わざと嘲るように言い放ち、元の体温に戻した手で無理矢理腕を掴む。
 真っ白な腕に点々と残る、一目で噛まれたのだと分かる裂傷。
 所々赤黒くなっているのは殴られたのだろうか。
 電流でも浴びせられたのか、火傷のようになっている所もある。
 油断した瞬間を突かれ、重い蹴りが鳩尾に決まり息が詰まった。
 ソファから転げ落ちると同時に身を捻り、更に追い打ちをかけようとしていた蹴りを辛うじて避ける。
 目の前でビュンッと音がし、冷気が漂う。
 その速度もやや勢いが欠けている気がして、理由も分からず苛々する。
 わずかにたたらを踏んだ隙を見逃さず、勢い良く足払いをかけると再びソファに沈んだ。
 そのまま起き上がろうとするのを全体重かけて押さえつける。苦しそうな呻き声が聞こえたが気にしない。
 自分の体温に細心の注意を払いながら素手で肌に触れると、身体の下で必死で藻掻きだした。
 だが、そのままの勢いで上着を捲り上げると不意に力が抜けぱったり動きが止まった。
 真っ白な身体に散る、ひどい暴力を受けたとした言いようのない傷跡たち。
 火傷の跡でもあれば完璧なんだけどね。刺激された嗜虐心に気が付かぬフリをして、皮肉げに心の中で呟く。
「へえ、ひょーがってこんなのスキなんだぁ。意外!」
 動きを止めた氷河の耳元で嘲るように囁くと、真っ赤に染まった目元で睨み付けてきた。
 わざと上から見下ろし、ニヤニヤしてやると泣きそうな顔をして目を伏せる。
「……っ」
 小さな声で何か言い返してきたが、掠れてしまってここまで届かない。
「ねえ、言っちゃったら? 楽になるんじゃない?」
 思いの外真剣な声になった。しまった。
 訝しげな顔をした氷河と目が合う。
 あんなに強かったのに、あんなに俺の事負かしてきたのに、たかだか1人の人間に壊される?
 あんなに高潔な氷河が?
 あんなにプライドの高い氷河が?
 壊れる?
 許さない。
 壊されることを受け入れようとしている氷河だって、許さない。
「言えよ」
 感情に伴って体温も高くなり、喉で悲鳴を押し殺した氷河が身を捩る。
 どこかそれも色めいて見えた。
「そんな風に誘ってるのは誰なの?」
 一瞬きょとんとした後、蔑むような目になった。
「そういう発想しかできねぇのか」
 吐き捨てる声は、それでも少し震えていた。
「誰なの? ねえ、言っちゃいなよ、苦しいって」
 瞠目する無防備な氷河。初めて見た。
 まあ氷河も俺に劣らずびっくりしてるみたいだけど。
「苦しいんでしょう? たまに悲鳴が僕の部屋にまで聞こえてきてるよ? あれは素直に悦んでる悲鳴じゃない。それぐらい分かる。何で許すの? 何で何も言わないの? 何で壊されようとするの? このままだったら本当に壊れるよ? 戻れなくなるよ?」
 我知らず肩に食い込ませてしまっていた指を外される。目は逸らされたまま。
 どうすれば届くんだ?
 どうすればこの強固な壁を壊せるんだ?
2009/11/10/Tue
 突然全ての動きを止められた。
 俺はまだ、イッてない。
 悲しさと怒りとそのたぐちゃぐちゃした感情で、何もリアクションが取れない。
 ただ深く息を吸って、吐いてを繰り返していると、雷の身体が少しだけ離れた。
「いかせてほしい?」
 意地でも言わない。
 ぷいっと顔を背けると、殺気に近いオーラが至近距離から発せられた。
 先端に指をあてられ、小刻みに電流を叩き込まれる。
 その度に跳ねる身体と、押さえられずに溢れる悲壮な悲鳴。
 じりっとした痛みに目を見張ると、二の腕に噛み付かれていた。
 反射的に空気に冷たい物が混じったが、叩き込まれる電流の痛みに近い快感で霧散する。
 真っ赤な歯形が倒錯的で眩暈がする。
「いきたい?」
 何でそんな泣きそうな声で懇願するの。
 ぎゅっと目をつぶって、意地でも顔を見ないようにする。
 電流がまた、奥まで達する。
 無意識に腰を浮き上げてしまい、快感を意識しないように、自分の痴態を考えないようにするのに必死だ。
 悲鳴はどうしようもなく止まらないから、引き寄せた自分の腕に噛み付いた。
 ぎちぎちと音が鳴り、鉄の味が広がる。
「何やってんだ!」
 突然、烈火の如く怒りだした雷に頬を張られた。
 ようだ。
 わけがわからない内に目の前が真っ白になり、身体が痙攣する。
「あ、いっちゃった」
 張られた拍子に電流も強くなり、臨界点を越えてしまったようだ。
 気づくと、情事の後の呼吸は激しい嗚咽になり、自分でも止められない。
 泣きながらふと目を上げると、姿見に自分の姿が映っていた。
 わずかに乱れた服装の雷と、半裸に近い格好の自分。
 胃液がのど元まで這い上がってき、堪らずその場で嘔吐した。
 急速に意識を失って崩れ落ちながら、この後俺たちの関係どうなるのかな、なんて考えていた。
2009/11/06/Fri
「ねえ」
 最近は、声の温度で分かるようになってしまった。
 雷が、発情してる時が。
「あ、雷。どうしたの?」
 それでも気づかないふりをする。
 発情してるときの雷は必死な事が多いので、こちらが気づいていることに気づかない。
 どうすればこっちがその気になるのか、悩んでる。
 ただ、こっちも必死だ。
 どうやってうまく躱そうか悩むのはやめた。
 どうすれば強姦にならないように持って行くか考えることにした。
 
 事の起こりは2ヶ月前、雷とこういう関係になってすぐだ。
 雷はホルモンの影響からか、発情期がすぐにくる。
 その度に誘われるのだけど、元々淡泊なのでその気にならない事がほとんどで、誘いに乗ったとしてもすぐに寝てしまったり、断ったりしてた。
 そしたら、ついに雷がぶち切れた。
 
 帰宅してすぐに、部屋にただならぬ空気が充満している事に気づいた。
 どこかからか漂う、強烈な敵意のようなもの。
 その烈しさをどこかで感じたことがあるのだが分からず、何食わぬ顔をしながら発生源を探す。
 炎か? 最近は闇討ちに遭うような喧嘩をした覚えはないが。
 それか、雷に隠してる事がどれかバレたか?
 どちらかによって対応が変わってくる。一瞬悩んだスキを突かれ、反射的に防御姿勢を取った時には息が詰まり身体は硬直してしまっていた。
 雷かぁ……。
 どれがバレたんだ?
 その内容によっては火に油なので、すんでの所で反撃は控えた。
 ただ無抵抗にやられるのは趣味じゃないので、身の周りを覆うように薄い氷の膜を張る。
「…………何」
 手出しできないようにしてから、痛みを堪えて口を開く。
「何も」
 冷ややかな声がすぐ後ろから聞こえて、ちょっと肌が粟立った。
 何、この重たい声。
「じゃあ何で自室で兄弟に攻撃を受けているのかの理由が全く分からないのですが」
 自分の身体をかき抱くようにして呼吸を整えていると、雷の振り上げた拳であっけなく氷が割れた。
 え、そんな簡単に割れるような厚みじゃなかったはずだけど。
 視界が反転し、ベッドに引きずり込まれる。
 何も抵抗しないのを良いことに、乱暴にカッターシャツを引き裂かれる。
 この時点でやっと、何がしたいのか気がついた。
「雷!」
 咎めるように名を呼ぶと、手首を噛まれた。
 真っ白な肌を伝うほどの流血に引く。
 それでも身体を反転させ、雷に背を向けて蹲る。
 背中を見せることになるが、仕方がない。正面には急所が……。
 その背中に叩きつけるように舌打ち。
 それ、こっちがしたいから。
 頬に手を添えられ、無理矢理顔を向けさせられる。馬鹿力め。
「何で抵抗するの」
「しないわけないだろ、何だよ」
 ちょっと苛々しながら吐き捨てると、冗談抜きで空気が凍った、ように感じた。
 そのまま洒落にならないくらいの電撃を直に叩き込まれる。
 しかも、顔から……!!
 冗談抜きで目が飛び出るかと思った。
 脳髄を力任せに揺さぶられたような衝撃。
 気を失っていたのは一瞬だったようだが、この状況の俺には長すぎる。
 硬直した身体を無理矢理広げられ、雷が潜り込んでくる。
 喉に噛み付かれ、やわらかな皮膚が裂ける。ぞわりと恐怖が這い上がった。
 逃げようと身を捩ると、すごい力で押さえつけられた。
 本当にやめて欲しくて雷を仰ぎ見ると、泣きそうになった目がこちらを見据えていた。
「抵抗しないでよ」
 こちらが怯んだ瞬間、目付きが獣のようなものに変わった。
「ね、だからお願い」
 言葉だけなら甘い蜜のように脳を蕩かすが、身体の痛みは依然続いている。
 それでも無理矢理探られ、痛みの中でも快感を拾い始める身体が恨めしい。
 本当に雷が好きなら、死にものぐるいで抵抗すべきなのか。
 無抵抗なのがいいことなのか。
 だが、そういった偽善的な思いは電撃込みの愛撫で溶ける。
 既に勃ち上がった自身はドロドロになり、情けなさと快感で涙が出てくる。
 体液によって通りやすくなった電流が弱いところを刺激し、我知らず腰が揺らめく。
「やらし」
 ニヤニヤ笑われ、羞恥で爆発しそうだ。
「ほら、もういっちゃいなよ」
 どんどん電流を強くされ、過ぎた快感で苦しくなる。
 唇からは意味のある言葉が出てこない。
 手も足も出せない俺を獰猛な目で見ていた雷が不意に、電流の鋭さを変えた。
「---ッ!! ぁ……ッ!」
 甲高い悲鳴が最初、自分のクチから出たものとは信じられなかった。
「なに……っ、らい、いやッ」
「前立腺狙ってみたんだ。あたってる?」
 そりゃもう。
 必死で雷を押しのけようと腕を突っ張るが、身体全体で抱え込まれこれ以上身動きが取れない。
「やだやだやだやだ……ッ や、だぁ」
 恥ずかしいとか言ってられず、壊れたレコードのように繰り返す。
 息の吸い方が分からない。
「お願い、らい、やだ、なんか漏れる……ッ やめッ、やだぁ!」
 とにかく藻掻き続けるが、どれだけ逃げようとしても快感は追ってくる。
 無理矢理高められる身体を持てあまし、吐き出したいのかやめて欲しいのか自分でも意識できないままただただ拒否の言葉をこぼし続ける。
 目を開いてるのか閉じてるのか、自分でも分からない。何も見えない。
 ただ、雷の悲しそうな顔は見えた。
2009/10/25/Sun
「兄貴、早く!」
 舌足らずな声が響き、金髪の美少年がにこにこしながら手を振る。
 その隣には青みがかった銀髪の、これまたタイプの違った美少年。
 少し離れた所には燃えるような赤毛を風にふわふわ靡かせた、天真爛漫を絵に描いたような美少年。
 俺の兄弟って美形ばっかだなあ。
 思わずそんな事を思いながら、ふとガラスに映る自分を見てがっかりする。
 普通だ。普通の顔だ。
 雷のような華やかさもなければ、氷河のように人形めいた顔立ちでも、炎のように可愛らしい相貌でもない。
 ちょっとがっかり。
 まあでもプロトタイプだし、こんなもんかな。
 年頃だから自分の顔も勿論気になるけど、それよりも、炎と氷河の間を漂う不穏な空気が気になる。
 ここ最近、この二人の仲はきわめて悪い。
 今も、お互いの存在を認めてないかのように完全無視だ。完無視だ。
 雷の笑顔も若干引きつっている。
「緑ってどんな子なのかな」
 炎が無邪気な表情で話しかけてきた。
 だけど、気づいてしまった。視界に氷河が入らないようにさり気なく身体を動かしていることに。
 凹むわあ……。
「可愛い女の子らしいよ」
 雷がひゅうっと口笛を吹く。男兄弟ばっかりだから、女の子が入ることで少しは空気が動いたりするかな?
「確か、年齢は俺と氷河、炎の間くらいなんだってね」
 嬉しそうに言う雷を含みのある瞳で見る氷河。ストレートに「氷河と俺を並べないでくれる?」と言っちゃう炎。
「黙れ」
 氷河のきつい瞳がさらに吊り上がった。
 それと同時に、ひゅっと空気が鋭利に、冷たくなった。
 その殺気だった風に呼応して、炎の髪がわずかに膨らむ。
「やめとけ」
 軽く雷に頭をはたかれ、ちょっと睨んだものの素直になるので氷河は楽だが、ややこしい炎がニヤニヤしたので視線でやめさせた。
 長い廊下が更に長く感じられる。
 一つは、新しい兄弟を迎える期待からで、もう一つはいつこいつらが爆発するか、で。
 まだ空気は若干冷たい。
「ほら、制御忘れてる」
 肩を叩いてやると、我に返ったように空気が凪いだ。
 
 ぷしゅ、と軽い音と共に銀色の扉が開く。
 見慣れた蒼白い景色ではなく、会議室のような部屋に不釣り合いな少女が緊張の面持ちで座っていた、
 殺伐とした部屋の中で、そこだけぽっかり春の陽気が抜け出したような雰囲気の少女だ。
「はじめまして、緑です」
 声は緊張して固かったが、それを差っ引かなくともほんわかした穏やかな話し方だった。
「はじめまして! 炎です」
 にっこり満面の笑みで握手を求める。緑はその笑顔にほっと表情をゆるませた。
「よろしくね、緑。俺は雷」
「お兄さんですね、よろしくお願いします」
「固いよー!」
 笑いながら軽く小突く真似をすると、照れたように頬を綻ばせるのがまた可愛い。
「俺が大地、こっちが氷河。よろしくね」
 にっこり笑いかけると、急に真顔になった。
 え、何、と一瞬たじろぐと、視線を逸らされてしまった。氷河に頭を下げている。
 ……軽くショックなんですけど……。
 うちひしがれていると、アラートが鳴り響き、訓練の時間を告げた。
 さっと空気が緊張する。
「今日は全員でなのかな?」
「どうなんだろう、俺は何も聞いてない」
 奥の扉が自動で開き、入るように促される。
 拒否権は、ない。
 
 
「あっ!」
 緑の悲鳴と氷河の舌打ちがほぼ同時に聞こえた。
 真っ白なセラミックのような部屋に閉じ込められ、四方八方からの火炎放射、銃撃。
 狭い部屋なので、お互いの連携が取れていないとぶつかってしまい共倒れになる。
 氷河と緑が接触し、咄嗟に氷河が緑を庇って肌を炙られた。
「氷河!」
 みるみるうちにどす黒くなる肌に焦る。体温が限りなく低い氷河は、火が駄目だ。
 今すぐにでも駆け付けたいが、どこから狙撃されるか分からないため迂闊に動けない。
「氷ちゃん、大丈夫?」
 いつの間にそんな呼び名に……と思うと同時に、氷河の火傷が綺麗に消えた。




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まゆゆ
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自己紹介:
 女性向け小説を書きたい!
 
 そういう意味わからん情熱が突っ走った結果のブログです。

 愛はあふれてますが、時たまわかりにくいです。
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